2010年 07月 30日
文化の割れ目 〜その65〜 |
僕の棺桶に詰めて頂くバイブルである。
日本のヴェルヴェット アンダーグラウンドと謳われた、
伝説の60’s バンドex)JACKSのボーカル、歌手の早川義夫・著の
エッセイ集。
購読したのは2002年。
ソレ以来、なにかあると必ずペラペラとページをめくっている。
僕は以前からJACKSや早川さんの音楽が好きで、
これもまた愛聴していた。
彼の歌声の凄み、少しだけ悲しそうな呟きにも似た
歌声が好きだった。
そんな彼が率いていたJACKSが解散し、彼はしばらく音楽制作スタッフとして
業界に身を置いていたが、どうも肌に合わず、とある小さな街で
本屋さんを営んでいた。
彼は、伝説の歌手と相成ったという訳だ。
数十年、本屋の店主として生きていたのだが、
「また謳いたい」という、沸々とした
情熱を抑えきれず、再びステージに返り咲いたのだ。
そんな彼の、音楽との格闘記、日々のあぶく、雑感などを
盛り込んだ珠玉のエッセイ集。
僕の好きな一節をみっつばかり。
《なぜ、歌を作るのだろう。なぜ、歌を歌うのだろう。言いたいことが言えて、やりたいことがやれて、吐き出せていれば歌を作る必要はない。語っても語っても言いそびれてしまうことや、心の底にくすぶっているものが歌になって生まれているものだと思う。本当のこと、言ってはいけないこと、言わなければよかったと思うようなこと、いや、やはりきちんと伝えておかなければならないことが歌われるべきことなど思う。そして表現されたものが、キレイに思われるか汚く思われるかが問題なのだ。》
《僕には才能がない。技術もない。学んだこともない。しかし、歌は作れる。誰だって作れる。こうして喋ったり、黙ったりしていることが、実は歌なのだ。「えっ」ってびっくりしたり、「あのね」って言ったり、発する言葉に全部、音符が付いているからだ。歌はその延長である。》
《いつ死んでもいいなと思った時期があった。死にたいと思ったわけではない。つまり、元気がない時期があった。そこからどのように立ち直ったかというと(ちょっと大袈裟だが)Hである。いやらしいことを想像したり、実際にしている時に、人は死にたいとは思わない。いやらしさは、生きようという生命力なのだ。》
音楽に限らず、ものづくりを志す方みんなには、是非一読を勧めたい。
表現をするにあたって、本当に手にしなけりゃいけないもの、
忘れてはいけないことを教えてくれます。
売れていれば良い、偉い、そんなことだけの為に
生まれてきたのだろうか。
こうして生きていると、何も考えなく生きるのが
逆に困難になっていきます。
「考え過ぎだよ。」
だなんて気を遣っておっしゃってくれる諸先輩方もおられます。
でも、思考を停止したら、いけないのだとも思います。
また迷いだしたら、混乱しだしたら、僕は彼の歌を聴き、この本をぺらぺらやるのでしょう。
ちなみに、僕が好きな彼の曲は「時計をとめて」というJACKS時代の曲です。
是非、読んでみてください。
by green-ball
| 2010-07-30 17:00
| 本