2010年 07月 29日
文化の割れ目 〜その64〜 |
先日、久しぶりに映画・男はつらいよ の舞台になった、
帝釈天参道が有名な葛飾区柴又へ出掛けた。
実に何年ぶりだっただろうか。
ここ何年かは休みという休みがなかった。
しかし最近はと言えば、週末には休めることもできるようになったので、
こんな暑い夏の日には、古来よりの清く正しい日本の夏を感じてみたく思い、
下町へと足を運んだわけである。
参道軒並みずらりと並ぶ草だんご屋さん、鰻屋さん、どぜう鍋屋さん、駄菓子屋さん。
今の東京とは思えない、情緒溢るる風景。
さて、男はつらいよ、そして寅さん、である。
僕にとって、この映画は、全てである。
坂本龍馬もビートルズもそうなのだが、
いわゆる、全て、なのだ。
私も日本人なので、幼少の頃から
火曜ロードショウ、日曜ロードショウの類いで馴染んでおりました。
塀の中の懲りない面々、男はつらいよの二本立ても当時両親につれられ
観にも行きました。
そんな原体験から始まり、男はつらいよが
本格的に僕の人格に切り込んできたのは
専門学校生時代。
とにかく友達もいないし、恋人もいない、
惨めな学生時代を慰めてくれたのは
まぎれもなく、寅さん。
ああ、寅さん。
当時、僕と同居していた山ちゃんが働く
エロビデオ屋に、申し訳程度に置いてあった
男はつらいよのビデオをただで借りまくり。
このころから偏愛開始。
仕事を始めて、初のボーナスで15万円のDVDも買いました。
寅さんの背中を追いかけて、恋から退いてみたり(自己完結)、
さすらってみたり、そんなふうに過ごしていたり。
寅さん、知ってるけど、観たことない、という方が多いでしょう。
イヤイヤイヤイヤイヤ。
寅さんは日本中を旅しながら、人と出会い、騒動をまき散らし、
柴又に戻り、マドンナに恋をして、そしてまた、去り往く。
そんな伯父さんだ。
あなたに日本人としての望郷があるのであれば、
心があるのであれば、是非、観てみてください。
もはや、わたしなんかは、癒しです、寅さん。
そんな寅さんこと、渥美清さんが1996年に他界し、シリーズは48作で幕を閉じた。
渥美さんは、寅さんを演じるにあたって、先入観や、無駄な情報を与えないように
インタビューを受けたり、人前にあまり出ないようにと、配慮していたという。
you tubeで「渥美清」と検索をかけて頂ければ、渥美さん、寅さんの貴重な
晩年のインタビューを観ることが出来る。
どんな思いでこの作品と関わってきたかが、解る。
日本が生んだ、人情ドル箱映画、男はつらいよ、是非、血肉にしてくだされ。
by green-ball
| 2010-07-29 15:32
| 映画