2011年 01月 17日
文化の割れ目 ~その71~ |
漫画、美味しんぼ。
長寿連載漫画である。
幼少の私の実家にも、全巻取り揃えてあった。
山形県出身の私は、夏は暑く、冬は寒い、という
特有の場で育ったが故、あまり外には出ずに
ひとりで部屋で過ごすことが多かった。
そんなとき、私の傍らに居てくれたのが、漫画本である。
(小学生のときには漫画クラブに所属。)
コロコロよりもボンボンを愛し、
少年ジャンプよりも月刊マガジンを愛していた。
単行本はというと、プラモ狂四郎、ファミコン風雲児、ラジコンボーイ、
やっぱアホーガンよ!、秘伝忍法帳、修羅の門、いけないルナ先生、ファミ拳 龍 etc.....。
とまぁ、少年コミックスを読んでいた訳ですね。
そんな折、父親が買っていた、グルメ漫画があるのに気づく。
美味しんぼである。
当時、バブルの煽りか、ウチの父親もフォローしていた様。
傍らに有るコミックスにも飽きてきて、
美味しんぼの単行本に手を伸ばし、私は読み始めた。
ここからである。
全ての食の刷り込みは、この漫画によりアジられたのである。
例えば......。
フォアグラよりアンキモのほうが美味い。
カツオはマヨネーズとよく合う。
料理人はタバコを吸ったらダメ。
サラダという概念を飛び越え、植木のトマトが一番美味い。
デパ地下はホームレスさんのレストラン。
ワインと豆腐は旅させてはいけない。
シマアジは活きの良いものよりも〆て殺したものの方が美味い。
寿司をCTスキャンで輪切りにすると、その善し悪しが解る。
美味い水炊き鍋は、ボケを治す。
牛肉に一番合うソースは醤油である。
お箸を使うとき、出来るだけ先を汚さないのが良い作法の基本である。
酒屋立ち飲みで缶詰を肴に呑むのが酒飲みの粋である。
などと、刷り込まれたエピソードは数多く。
普段はグータラ新聞記者、主人公・山岡士郎。
それを補佐する栗田ゆう子(時に涼やかに暴言を吐く)
主立ったエピは、
その2人に立ちふさがる大きな壁、海原雄山。
究極のメニュー VS 至高のメニューという主題で
山岡と雄山で対立。
ふたりは姓こそ違えぞ、実の親子。
食が原因で争い、食を通して争う。
ソレ以外にも、食を通して俗物をやり込めたり、
その当時抱えられている社会問題にもメスを入れ、食を通して
問題を解決してしまうという、実に画期的な内容なのだ。
そう、グルメ漫画のブラックジャック、はたまたドラえもんなのである!!
私も今も尚、山岡と栗田と海原の行方が気になってしかたなく、
愛読歴24年ほどである。
ストーリーの中には実在するお店も数多く出てきており、
いつか大人に成ったら東京へ出て、ここのお店で食べてたい!
と子供心におもったものである。
という訳で、私の食文化という基準は、この美味しんぼで形成されているのである。
是非一読を。
by green-ball
| 2011-01-17 15:51
| 本