2011年 02月 07日
文化の割れ目 ~その74~ |
藤沢周平シリーズ。
我が祖国、山形県が生んだ、希代の時代小説家。
架空の藩、海坂藩を舞台に、中級侍、下級侍の哀歓を描いたシリーズが
私は大好きなのであります。
まず、山田洋次監督が4作中、3作手がけているのも熱いのだが、
やはり我が祖国モノという点が血を掻き立てるのでがんす。
なに、難しく考えることはなし。
ストーリーとしては時代エンタもので、実に解りやすく
痛快で、何処かやりきれなさも相まって、結果、我らに一抹の爽快感を与える。
更に、今では無くなってしまった日本人の実直さや自尊心、義侠心の強さを
美しい映像美で伝えてくれるのである。
一貫して主人公は真面目な下級武士。
しかしながらそれらの性格が功を奏してか
軒並み剣客揃いなのである。
各々、某の問題が起き、誰かは藩命により、誰かは己のプライドにより、
誰かは哀れな大事な人の為に、その腕を奮う。
基本はその流れが多いのであるが、その単純明快なストーリーの中に
様々な心象風景や深い悲哀、そして希望が降り掛かっている。
置き去りにされた、かつての日本の姿。
藩を重んじ、忠義に生きる武士が故の
人間個人としての葛藤よ。
男とは、このように強く悲しく、かく在りたいものだと思うシリーズなのである。
是非、一気に駆け抜ける様に鑑賞して頂きたい。
by green-ball
| 2011-02-07 14:11
| 映画