文化の割れ目 ~その81~ |



春ですね。
もう6月ですから、梅雨ですか、そろそろ。
そんな折しも僕はこの季節と全くシンクロしない音楽を
主に通勤時に聴いております。
先日、book offの250円コーナーを漁っていた所、
小中学生時によく聴いていた、BUCK-TICKのCDが売っていたこともアリ、
こりゃ、懐かしいと何枚か購入に至りました。
これで束の間のノスタルジアに浸りながら、i-phoneに音源を入れて
楽しもうかなーと考えている程度でした。
で、聴いてみる、と。
こりゃ、ヤバい。
ブットンダ。
BUCK-TICKと言うと初期は、BOOWYなどに代表されるスカッスカなビートパンクの音に
ポップなメロディ、耽美的デカダンな詞世界、というイメージ、いわゆる
ヴィジュアル系の文脈に値するイメージの方が多いであろう。
それは否めない。
その筋のオリジネイターでもあるのだ。
それはそれで凄いことではあるが。
まぁ、それはそれとして、彼らはずっとこのスタイルでやって行きたのであるが、
キャリア中期にさしかかる、上記画像にも有る「狂った太陽」で、
これまでの表現とは分岐する地点を迎える事とと成る。
この「狂った太陽」から、B-Tは独自の道を歩き出す。
まず、コンポーザーである今井寿の才能がとにかく大爆発する。
彼自身のルーツであるNEW WAVE、テクノミュージックをフックに
インダストリアル・ロックをいち早く(このレコードは1991年リリース!)取り入れ、
そのサウンドは20年経った今でも、全く色褪せることはない。
その後、過去の音源を再録したベスト的の内容の「殺シノ調べ」では
狂った太陽地続きのサウンドで今までの楽曲を再構築し、
凶暴且つエッジの効いた作品へリボーンしている。
これまたインダストリアルmeets生音のミックス。
そしてB-Tサウンドの頂点「Darker Than Darkness」でスパークする。
これはB-T往年のファンは面食らったであろう。
ビート感たっぷりのあの縦ノリではなく
ゆらゆら揺らめく横ノリへと変わったからだ。
何と言ったって、1曲目からズブズブなUK DUBよろしくのON-U-SOUNDで
幕を開けるからだ。
まさに音楽的冒険旅行な内容。
JAZZYな変拍子の導入、例のインダストリアル・ノイジーサウンド、
キャバレーミュージック、ブルージーと、なんでもござれな内容。93年作。
というマニアックな試みをしつつも、ポップである説得力もある。
世間で言うレディオヘッドのOK コンピューターだ?
プライマルスクリームだ??
バーカ。
日本にはB−Tというぶっ飛んで偏ったモノホンのバンドがいるんだぜ。
と僕は言いたくなった。
とにかく、凄まじい先進性を持った唯一無二のグループであることは間違いない。
5年10年先に行っているのだ。
90年代末から加速的にノンジャンル化してゆくポピュラー音楽の架け橋存在として
彼らの偉大なる功績をもっと評価するべきだと思う。
兎に角、聴いてみるべし。
book offで売ってるから。