2011年 05月 27日
文化の割れ目 ~その82~ |
2000年の映画、クライム&ダイアモンドを観た。
もう11年も前の映画。
この11年もの間、この映画を知らなかった自分に狼狽した。
僕の理想とする(仮に僕が監督、脚本を担当した場合と仮定して)映画そのものだったのだ!
監督、脚本はクリス・バー・ヴェル。
全くの無名であり、今だに撮った映画もこの1本だけ。
要するに、この映画での興行が芳しくなかったからだ。
とても悲しい。
こんな素晴らしい才能が世に認められないなんて。
また、この映画を観てもそれがわからないなんて。
この映画自体の存在がわからないなんて。
ああ。
尊敬すべき人物に対し、作品を捧げることを「オマージュ」と言う。
この映画は「映画」そのもの自体にオマージュしていると言っていいだろう。
監督が10年練り込んだ脚本と、映画クラッシックスたちへの愛が満ちあふれ、
往年の映画ファンをくすぐるのである。それが懐古的趣味ではなく、
タランティーノを臭わす、例の無駄話羅列、スピード感のある構成は、
様々な映画のジャンルを網羅している。ロマンス、コメディ、クライムサスペンス。
それらをミキシングし実に現実的にストーリーは進むのである。
主人公フィンチが(クリスチャン・スレーター)自分を捉えた
映画好きの殺し屋毒舌ジム(ティム・アレン)からこう言われる。
「生き延びたかったら、映画さながらの面白い話を俺に聴かせてみろ。そうすれば、助けてやらないでもない。」
このジムの一言で、フィンチは何故ジムに捉えられることとなってしまった自分の身の上を話し始める。
この殺し屋毒舌ジムは無類の映画ファンで、
ティファニーで朝食を見ながら涙したかと思えば、
冷酷無比にターゲットの額に鉛玉をぶち込む凄腕の殺し屋なのだ。
フィンチはこの一筋縄では行かないジムを、納得させることが出来るのであろうか。
それは勿論、見てからのお楽しみだが、とにかく、
この映画を観て良かった.....映画ファンで良かった......
と、誰もが思うに違いない。
もう、あなたが映画好きであったら、の話ではあるが。
by green-ball
| 2011-05-27 15:59
| 映画