2012年 09月 21日
文化の割れ目 ~その96~ |
現在公開中の「最強のふたり」を観た。
福岡ではTOHOシネマズ天神、シネプレックス小倉などで公開している筈。
今年観た映画の中でNO.2!!
(ちなみにNO.1は「Sunny」です!)
この物語は実話に基づいている。
パラグライダーの事故で首からつま先まで全身麻痺になった大富豪の男、フィリップがある日、
自身の介護人を募集する。
街では名のうての富豪であるフィリップの募りに、たくさんの候補者が集まる。
フィリップ邸で行われている介護者面接に、スラム街出身の黒人男性ドリスが応募する。
彼には働く気などなく、就職活動した証明をもらって
失業手当を受けるのが狙いだった。ところが、なぜかフィリップは彼を採用する。
フィリップは帝王学も仕込まれ、インテリジェンスで教養豊か。
一方、介護にまわるドリスはストリート出身で粗暴で、ご陽気ものだが前科者。
まったく真逆の人生をおくっているふたりが、この様にひょんなきっかけで出会う。
フィリップは介護を受ける身ではあるのだが、自分に哀れみ、同情の目を向けてくる介護人たちに絶望している。
しかしドリスはその粗暴さも手伝って、同情どころか、悪気の無いエグいギャグを交えてフィリップの現実をアジる。
しかし、ドリス程、分け隔てなく本音を自分に投げかけて向き合ってくれた介護人は
いままでで初めての事。
雇い主であるフィリップはドリスを「あなた」と呼び、
雇われているドリスはフィリップを「おまえ」と呼ぶ。
これまで大富豪の障害者、というだけで、いままで媚へつらえてくる人間の顔を数多に見てきたフィリップ。
しかし、ここにいるドリスは、いままで接してきた人間と明らかに異なるのだ。
ドリス役のコメディアン・俳優のオマール・シーが素晴らしい。
金持ちというある種のブランドに怯まず、下品なジョークを連発し、
自分の好みであったフィリップの秘書をガンガン口説き、全身麻痺に侵されている
フィリップの性生活についてズケズケ質問し、自分のアティテュードを崩さない
ドリス役を快活に演じている。それは時折見せる彼の笑顔にばっちり反映されている。
フィリップはクラシック音楽を好み、ドリスはクール&ザ・ギャングスなどのディスコ音楽を好む。
好みも生まれ/育ちも正反対の男同士の摩擦が、観るものに爆笑と爽やかな感動を送ってくれるのだ。
フィリップはドリスと出会った事によって、今までに見れなかった世界を手にし、
ドリスはフィリップと一緒に居る事で、これまで身につけてこなかった教養を手にする。
前科歴のあるドリスを身の回り置くのはどうか、と苦言を漏らす親戚にも
フィリップは「彼は私に同情などしていない、そこが良い。彼の過去なんかどうでもいいことだ。」と
言い放つ。
育ちや環境の違いなど関係なく、対等な人間同士のふれあいを描いた、
今秋、必見の映画である。
とにもかくにも、絶対に観て損はしませんね。
とにかく腹を抱えて爆笑する事受け合い。
とにかく張り巡らされた無駄の無い伏線のある脚本と演出、
そして2人の卓越した演技力、まさに最強。
これ読んだ人は絶対観てください!!マストで!!!
by green-ball
| 2012-09-21 16:29
| 映画