2013年 01月 13日
文化の割れ目 ~その104~ |

齢30も半ばになると、己にダンディズムという血は流れているのか、
なんていう戯言のひとつも生まれてくるもので。。。
自分の風体を顧みるに、実にだらしなく、頭もぼさぼさ、
足下も基本は運動靴で見るも見窄らしい有様でありまして。
「困ったなあ。」と我が奥方も呆れ顔。
見るに見かね、こんなんじゃアレでコレだということで、
スーツ上下を宛てがわれたりもするのですが、いやホレコレ、
そもそも外見の問題ではございませんね。
多少はあるのでは、とは思うのですが、
大事な部分はそのマインドであったり、
所作/振る舞いってことが主であったりします。
そこで私は
「うーん、いかんな。」
と思うと本棚からスッと抜く文庫がございます。
池波正太郎先生の「男の作法」。
これはもちろん、参考文献に過ぎないものであって、
受け売りでは本末転倒でございますね。
この手のエッセイや書に左右されては物事の本質からは
遠ざかってゆくのみでございます。
こういうものはサラリと身体にインストールして自分なりの答えを
導かないといけませんね。
主に、池波先生は男の作法とある通り、
刺身の食い方・蕎麦の食べ方・寿司の食い方など、
食に関する作法はもちろん、男は仕事の道具に金をかけなければならないとか、
いつも死を意識して行動せよ、など男が男として生きるための作法・心構えが優しい口調で書かれている。
それも押し付けがましくなく、説教臭くなく、軽やかな文体のリズムで伝えてくれているのです。
何が無粋で何が粋か。
男とはすべからくこう在りたい、と思うのは当然。
時代は幾重にも移ろえど、人間、男における粋の基準・定義は
変わらないのでありましょう。
発刊から30年近くも経った今でもベストセラーをキープしているのは
その基準が変わっていない事を表しております。
「ああ、なんだか了見が狭くなってきた。」
「理不尽になってきてる。」
「卑屈になってきてる。」
などと自分に感じたら、この本を処方致す。
心持ちが軽やかになるは必至、誰かにも優しくなれること受け合い。
やりたいことをやる、という若者の特権めいた思想がありますが、
これはこれでひとつの正解ではあるのかもしれないが、
それだけの価値観だけが正解ではない事に、これを読むと気づきます。
そこには自分ひとりの振る舞いひとつで場の空気も変えれるし、
皆が気持ち良く過ごせる配慮、心づくし、そして万物に繋がる普遍的知恵が
隠されているのです。
それらを知る事は、他人への思いやりに通じ、同時に粋への道でもある。
飾らず、奢らず、ひたむきに、品格有れ。
男子よ、ルールは破っても、マナーは守れ!
by green-ball
| 2013-01-13 14:14
| 本